
《2019》台風19号で施設全体が水没 存続の危機
2019年には⼈⼯芝サッカー場A2が完成し、前年にラグビー仕様へと改修したF3サッカー場を活⽤して、⽇本で開催された「ラグビーワールドカップ2019」に出場したロシア代表チームがキャンプを行うなど、レッズランドは順調な発展を続けていました。
しかしその年、レッズランドにこれまでで最も厳しい試練が訪れます。10⽉12⽇深夜、担当者のもとに国⼟交通省から一本の電話が⼊りました。「明⽇、レッズランドは確実に⽔没します」。台⾵19号による豪⾬はすさまじく、衝撃が⾛ったものの、為す術はありませんでした。
荒川はこれまで⾒たこともない激流となり、茶色く濁った水がレッズランドへと押し寄せ、水深6~7mに達しました。オープンから15年の間で、1mほど冠⽔したことはありましたが、そのたびに⽔は早く引き、実害は比較的少なく済んでいました。しかし今回は「冠⽔」ではなく、「⽔没」。復旧には膨大な時間と費⽤がかかると容易に想像でき、未曾有の⽔害を機に、レッズランドを閉鎖せざるを得ないのではないかという不安が広がりました。
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完成した人工芝A2グラウンド(手前) | ラグビー仕様に改修したF3サッカー場 |
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台風19号で増水した荒川本流の河水が流れ込み、施設全体が完全に水没した | 水没したレッズランドの惨状 |
《2019》再生に向けて 大量の泥とゴミ 復旧に巨額の費用》
朝になって⽬の前に広がっていたのは言葉を失うほどの光景でした。レッズランド全域が茶⾊く濁った⽔で覆われ、サッカー場6⾯を含むすべての施設が完全に⽔没していたのです。
流れ込んだ⽔は、2日後には1mほどまで下がり、数⽇でほぼ全部引いたものの、残されたのは大量の泥と植物の残骸など、想像を超える量のゴミでした。泥は、1㎥で1.6t、総量にすると2000㎥、3000tを超える計算になります。そのほとんどが、レッズランドの施設内にそのまま積み上がっていたのです。この豪雨が今回一度きりで終わるのか、それとも来年以降も同様の被害が起こり得るのかという不安が広がっていました。台風による深刻な被害が「数十年に一度」ではなく「数年に一度」発生する可能性が高まるなか、営業を続けるかどうかは現実的な検討課題となっていました。
しかし、レッズランド代表理事でもあり浦和レッズの⽴花洋⼀代表(当時)は、「やめるわけにはいかない」と、即座に復旧を決めます。「Jリーグ百年構想を具現化し、地域の人々のスポーツ文化に寄与する、浦和レッズだけにしかない施設は、絶対に守る」その強い言葉が、復旧へ向けた背中を押しました。また、当時のレッズランドキャプテンも「レッズランドを再⽣するために⾃分は神様に送り込まれたんだ」と自らを奮い⽴たせました。
復旧計画を国土交通省に提出するため、業者から届いた⾒積書を積み上げると、その総額はレッズランドの資本⾦と同等規模の金額でした。それに対し、浦和レッズの責任企業である三菱重⼯が理解を⽰し、復旧費用の拠出を決めました。こうして「復旧」に必要な資⾦のめどが立ち、レッズランドの基⾦は増額。「親会社」である浦和レッズの資本⾦を超える規模になりました。
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人工芝も一面泥に埋もれた | 作業動線を確保するため、通路の泥の除去も一苦労だった |
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レッズランドが初めて直面する未曾有の危機となった | 多いところで10cmほどの泥がたまり、長靴でないと施設内に立ち入ることはできなかった |











